一夜の出来事が親友にバレたのは、その翌週だった。
「痴舞美、最近お胸の元気がないよね。
 先週まではCくらいはあったのに。
 てか…片乳だけ萎んでない?! おかしいよ‼︎
 風船じゃないんだから‼︎‼︎」
『え…?? なんでなんでなんで‼︎
 おっぱいねーーーーじゃん‼︎‼︎』
嘆きもクソもない声が飛び交う。
「まさか痴舞美、萎刀とヤッたの?!」
『うぇっ。なんで知ってるの。』
私が鰤斗と付き合っているという事は
秘密にしていたはずだ。
「胸にあいつの歯形が付いてる。今まで
 襲われてきた子達の胸にも同じ歯形が
 付いてるんだよ。もう見え見え。」
目の付け所がアグレッシブな彼女には白旗だった。
乳腺が死滅し、平らになった左胸に歯形が
刻まれた様子は、もはやミステリーサークルとしか言いようがないだろう。

「本当、なんでそういう“怪物”と普通の人の
 区別ができないかなー。お母さんには
 なんて伝えるつもりなの?」
私は少々戸惑った。わが家は母子家庭で
放任主義ではあるものの、お母さんは
時折情熱的な人だ。もしも事の顛末を
話そうものなら、即座に鰤斗や保護者、学校を
暴行強◎罪として訴えてしまう。
めんどくさい事にはなりたくない。
『なんとか隠し通す。乳首のとこは
 傷パワーパッドでごまかすから大丈夫。』
「はぁ…知らないからね。」