3年前の春、私達は出会った。男の名前は〈萎刀 鰤斗〉
うんちみたいな野郎だ。
当時の彼はいわゆる“魅惑の色男”で、その
バックボーンには数え切れない程の女がいる事は
頭では判っていたはずだった。
まだまだウブでメスブタだった少女は
男の区別すら未知な癖して、バカみたいに優しかった彼にだんだん堕ちていったんだ。ゆっくりと。
そして遂に危険区域(ラブホテル)に没入した。
『ぶりりん♪〈鰤斗〉だぁいちゅき❤︎ペロペロ…
 私、男の人と戯れ合うの、これが初めてかも❤︎』
『一発イってみないか?めちゃくちゃにしてやる。』
吐息混じりの猫撫で声。
『うふふふ…いいよ❤︎』
今思えば、これが正しい恋心の在り方なんだと
少女は信じて疑わなかったのだと思う。

雁字搦めになった儘のベット上で、悲劇は起きた。
『いってえな畜生がよお‼︎‼︎』
口調が荒ぶる。左胸の辺りでガリッと
音がしたと思うと、案の定だった。
私の乳首はすでに消えていた。
そこに残ったのは、マグマのようにドロドロと蕩けてゆくなんとも言えない血液だけだった。