「金髪美女100人抱いて、一生幸せに暮してぇー!」
彼の醜い雄叫びは、クラスのざわめきを一気に
静寂に変換した。
そして傍らの席にいた私に目配せしたかと思うと
「無乳首ババアが」そう捨て台詞を吐き、
避妊具を手に教室を跡にした。
【なにあいつ…バカなんじゃないの?】
【部稜さん、かっわいそー(笑)】
【呆れた。】
クラスは私と彼との関係に興味津々なようで、
再びざわめきを取り戻す。
人の大切なもの、勝手に奪っておいて。冗談じゃない。
あの日から私は、彼を見かけるたびに鮮明に蘇るんだ。
からだを噛まれる痛みと殺意、そして
ひとつあまりの恋心を。