渡されたのは、手作りのクッキーだった。

甘いものは好きなので嬉しいが、こういうのは普通、男子に渡す物ではないだろうか。

「ありがとう。大切に食べるね」

私が微笑むと、その子は顔を真っ赤にして走って行った。

あれはまるで、恋する乙女だ。

私は、告白されても付き合うことはできないが。

私はクッキーをバックに入れて、家へと急いだ。

今日は、ずっと前から楽しみにしていた、あるものが届くのだ。


「ただいまー!」

私は、誰もいない家に響き渡るほどの声で言った。