だって、わたしが、外国人と同じ印象だなんて……、ひどいよ。



「魔女と同じ印象、か。まあ、いいだろう」



 ふん、と鼻をならして田村先生がつぶやく。

 そのひとことが、やけに重苦しく感じた。



「ええ、そこの魔女さんと同じ、美人って言葉がピッタリでしたよ」



 うんうん、と大上くんがうなずく。

 ……へ?

 美人? ……だれが? 魔女って……、わたし、だよね?

 クラスのみんなも、ぽかんとしていた。



「大上ぃ……」



 田村先生の地をはうような声。



「放課後、職員室へ来い! 反省文だ!」

「え~」

「はむかうなら、警察だぞ!」

「はいはい」



 ぴしゃんっとしかりつけられても、大上くんは涼しい顔をしていた。



「さっさとその空いている席に座れ! ほら、授業始めるぞ!」



 一時間目は、田村先生の化学の授業だ。

 だから、このままホームルームから続けて授業が始まる。

 わたしは、落ち着かないまま席へと向かう大上くんを見ていた。

 堂々としたその姿が、金色のオオカミと重なる。

 そんなことを考えてると、席についた大上くんと目が合った。

 ぱちん、とウインクされる。



『美人って言葉がピッタリでしたよ』



 大上くん言葉が頭の中でよみがえり、かーっと顔に熱が集まる。

 きっと、わたし、顔真っ赤だ。

 それを隠すように、わたしはうつむいて教科書で顔を隠した。