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 ここ、だよね?

 わたしがおとずれたのは、小さな裏路地だった。

 火野さんからの指定場所。

 メッセージにはこうあった。



「真実を話します。ここへ来てください」



 ふらふらと路地を歩く。

 雑貨屋さんとかあるけど、普通の家も多い。

 この喫茶店は、クローズドってなってるな……。

 とまどっていたら、とびらがあいた。

 あ、火野さん。

 火野さんの手招きに従い、とびらの内側に入る。

 中はおしゃれでキレイなテーブルが並んでいた。

 それを通り過ぎて……奥にある、とびらへ。

 まだ先があるのかな。

 そう思ったら、あらわれたのは地下へと向かう階段だった。

 何?
 まるで、秘密基地みたい。

 階段を降りると、広い部屋があった。

 小さなテーブルと、四脚のイスだけがある。

 そのイスに座っていたのは……。

 リヒト、くん?



「カナ!」



 リヒトくんは、顔をくしゃくしゃにして、
 泣きそうな表情をしていた。



「ごめん、おれが、ヘマしたせいで……、
カナを……、大事なカナを、裏切った」



 あ然として、頭が真っ白になる。

 なんなの? ヘマ? どういうこと?

 謝ってる。どうして? 
 泣きそうな顔で。「大事なカナ」?

 頭がぐるぐるしたけれど、思いついたことはシンプルだった。



 ……、逃げよう!



 もう、リヒトくんにこれ以上傷つけられるのはイヤだ!

 わたしは一歩あとずさり、来た道をダッシュで帰ろうとした。