あれからしばらく経った。

 しばらくって、どのくらいだろう。

 二週間? 三週間?

 それとも、一ヶ月?



 ……感覚がマヒしてわからない。



 ユキちゃんは、
「特別職員だとバレたからには、
もうこの学校にはいられないわね」と、
さっさと転校していった。

 ユキちゃんをハブっていた五十嵐さんたちは、
 しばらくびくびくしてたけれど、何もなかったようだった。



 ……どうでもいい。



 リヒトくんは、
 クラスのやんちゃっぽい男子とつるむようになった。

 魔女相手に特別職員とあんなことをやるなんて! 
 と男子たちははしゃいでいた、



 ……どうでもいい。



 世界の色が消えた。

 二か月前と同じだ。



 ……これでいい。



 リヒトくんがきらきらと照らしてくれた世界。

 それは、ニセモノの光だった。

 お母さんとのやりとりも、
 今となっては本当なのかわからない。

 だって、わたしを裏切ったリヒトくんが仕掛けていたことだから。

 わたしはいつものように、図書準備室で昼食を食べる。

 ……味がしない。

 砂をかんでいるみたいだ。

 でも、流し込まなきゃ。

 お腹減るし。食べなきゃ生きていけないし。

 ……生きて、いけない?

 わたし……。生きている必要、ある?

 日常に小さな幸せを見つけて、生きてきた。

 それを、歌にするのが好きだった。

 でも今は……、そんな気力さえない。