しかし、なんだか様子がおかしい。

 みんな、こっちを……、
 わたしたちを見ているような?



「おい、きたぞ!」



 教室に着いたとたん、だれかが声を上げた。

 教室の教壇にいたのは……。

 火野、さん? 

 そう、わたしの監視士の火野さんだった。

 火野さんは、
 冷たい目をしてわたしたちの方を見ている。

 ……、わたし、何かした?

 もしかして、コンクールのこと⁉

 やっぱり、魔女が出しちゃいけないものだったんだ!

 ずし、と心が重くなる。

 せっかく応募したのに……、がんばってきたのに。

 その努力が、水の泡になっちゃうの⁉

 どくどくと心臓が鳴り響く。

 そんな中で、火野さんは口を開いた。



「大上リヒトくん。
こちらへ来なさい」



 ……え?

 わたし、じゃないの?

 リヒトくんも、驚いた顔をした。

 それでも、火野さんの目の前に向かう。

 ふたりは、教卓をはさんで向かい合った。



「リヒトくん。
あなたを、政府反逆罪で連行します」



 火野さんがそう告げた瞬間、時がとまった。

 政府反逆罪……。

 リヒト、くんが?

 教室中が、しんとなった。緊張感に、押しつぶされそうだ。

 火野さんはスマホをとりだした。

 素早く操作をし、画面をタップする。



『カナ、おれの夢、聞いてくれる?』



 流れてきた音声に、どくんっと心臓がはねた。

 まさか……!

 やめて、それ以上は!