「これがただの人気者のきまぐれなら、
わたしは断ってました。
……でも、リヒトさんは、本音をぶつけてくれた。
そこに、惚れこんだんです」
惚れこんだ、なんて。
しっかりとリヒトくんを見てつむがれた言葉。
なんか、聞かされてるわたしの方が照れてしまう。
ユキちゃんの、告白をきかされているみたい。
「まあ、
その本音は政府に反する言語道断(ごんごどうだん)のものでしたけど!
これは、わたしがちゃんと監視してないと、ダメですね」
やれやれ、といった風にユキちゃんは肩をすくめた。
「このコンクールを、ひと夏の思い出にするなら、
わたしは協力します。
どうですか? リヒトさん」
「……わかった、頼む、ユキ」
ユキちゃんはうなずいた。
ふたりの視線が、今度はわたしに向けられる。
「カナさんは、どうですか?」
「サポートは、おれとユキがする。だから、この通り!」
リヒトくんは頭を下げた。
……これは、夢?
魔女であるわたしが、
一般人ふたりにコンクールに参加してくれって頼まれてる。
確かに、最初は賞金目当てで出たいって思ってたよ。
でも、まさか、こんなかたちになるなんて……。
どうしよう。
断った方がいいに決まってるよね。
絶対ふたりに、迷惑かけちゃう。
でも、わたし……。
参加、してみたい。
賞金目当てっていうよりは……、
ユキちゃんの言ってたように、『ひと夏の思い出』のため。
そうだ。