わたしは決意を込めて、
 文字のフォントを大きくして、リヒトくんに思いをぶつけた。



【もう、わたしに近づかないで】



 リヒトくんが文字を読んでいる間、
 わたしの心臓はドキドキしっぱなしだった。

 だって、リヒトくんが来てくれて……。

 わたし、すごく「生きやすく」なった。

 リヒトくんがいるだけで、世界が明るくなる。

 話しかけてくれて、すごくうれしい。

 リヒトくんのおかげでお母さんの本当の思いも知れた、感謝もある。



「どうして?」



 あんなに突き放したのに、リヒトくんの声はすごく優しい。



【わたしは魔女だから】

「うん、魔女だから?」



 ……えっ。

 この文章の続きなんて、考えればわかるじゃん。

 魔女だから、わたしに近づくと不幸になる。

 もしかしたら、魔女監視庁の特別職員とかに逮捕されちゃうかもしれない。

 そういうウワサがたってること、リヒトくんは知らないワケないよね?



【リヒトくんが、逮捕されないか心配】



 そう打って見せると、リヒトくんは笑顔になった。



「心配してくれて、ありがとうな。
でもさ、カナは、どうしておれのこと心配してくれるの?」



 どうしてって……。

 わたしは、困ってリヒトくんを見つめる。

 リヒトくんは、じっとわたしのことを待っていてくれている。

 好き、だからだよ。

 リヒトくんのことが、好き。