相手が魔女だから。ハイ、別れます!

 ってなるのは……、すごく、さびしいな。

 もちろん、
 本人たちにしかわからない事情もあるんだろうけれど。

 ……わたしは、「恋愛」がわからないよ。

 だから、作る曲は、
 日常に感じた小さな幸せみたいなことをテーマにしてることが多い。

 でも、恋愛じゃなくても、
 友愛とか、親子愛なら詩を書けるかも。

 今ならね。

 リヒトくんのおかげで。

 そう思わない? ミミ。

 ミミは画面の中で、気持ちよさそうに歌っている。

 まだ歌詞を思いつかないから、
 ラララ~って歌わせてるんだけどね。



「いい感じの歌じゃん」



 とびらの方から声がして、思わず振り向く。

 リヒトくん……!



「なんかさ~、カナ、おれのこと避けてない?」



 リヒトくんは言いながら、わたしの横の席に座る。

 ひじをついて、あごをのせると、ちらっとわたしを見た。



「さびしいんですけど」



 リヒトくんのすねてる表情が、ものすごくかわいくて……。

 うう、胸がきゅーんとする。

 もしリヒトくんがわんこだったら、
 絶対耳がぺたーんってなって、きゅうんって言ってるよ!

 って、ダメダメ。

 わたしはスマホのメモアプリを開くと、文字を打った。



【何の用?】

「だれかさんがおれのことを避けてるから、
理由を聞きに来た」



 ここだ!

 ここで、ハッキリ、言わなきゃ。