「……って、うわっ、カナ⁉ 
大丈夫か? 
おれ、言いすぎた?」



 ぼろぼろと涙がつたっていく。

 うれしくて。

 だって、お母さんは、お母さんだった。

 わたしのことをずっと思っていてくれたんだ。

 それに、リヒトくん。

 リヒトくんが、こんな仕掛けで
 お母さんの本当の気持ちをわたしに伝えてくれるなんて。

 なんて、優しい人なんだろう。

 それなのにわたし、夢を見たからって、
 リヒトくんのことをうたがっちゃってた。

 わたし、なんて失礼なことを思っちゃったんだろう。

 お母さんのこと。リヒトくんのこと。

 もう胸がいっぱいで、涙がとまらない。



「……まあ、今回の『教育』は、
カナさんには有効だったみたいですね。
これで、魔女であることを再認識できたでしょう」



 火野さんはこの涙を、
 わたしがショックを受けたものと思っているみたい。

 でもね、違うんだ。

 これは、うれし涙なんだよ。

 三年越しのお母さんの気持ちの真実。

 それを知らせてくれたリヒトくんに、わたしは心から感謝した。