わたしの、すべてを否定された。

 実の親に。大好きなお母さんに。

 じわ、と涙が浮かんできた。

 わたし、生きてていいの?

 ぽた、ぽたと涙が頬からすべり落ちる。



 わたし、生きてる意味、ないんじゃない?




 だって、魔女で、災いを呼んで。

 お母さんにも、あんなにつらい思いさせて。

 みんなに迷惑をかけてる。




 それなら、いっそのこと、このまま死んじゃった方が……。




 そうだよ、いまのうちに、
 ココから抜け出して、窓から飛び降りれば……。

 思い立ったら、そうとしか考えられなくなった。

 そうしよう。生きてても、しかたない。

 がばっと顔を上げると、ズキッと頭が痛んだ。



 何?



 頭の中に、「ウォーン」とオオカミの鳴き声が響く。

 まるで、
 わたしに「そんなことはダメだ!」と強く語りかけるように。

 ……そういえば、オオカミの夢を見ていたような気がする。

 ああ、そうだ。

 リヒトくんが、友だちだって言ってくれる夢。

 ……本当に、そうだったっけ? 

 違う。オオカミは苦しそうにしていた。
 ひどい吹雪の中、最後に聞いたのは……。



『とも、だち、ゴッコは、楽しかったかい? あはハはハハハッ!』



 ……!

 ともだち、ごっこ。

 もしかして、これが、リヒトくんの本心?

 ……そうだよ、きっとそう。