ハッと目が覚めた。

 ぜいぜいと息が荒い。

 息苦しさに思わず首元をさわると……。

 あの金属の感覚が、ない。

 え?

 どうして、首輪がはずれてるの?

 それに、ここはいったい……。

 わたしは、ベッドから体を起こし、
 きょろきょろと辺りを見回した。

 すると、カーテンがシャッとひらく。



「気づきましたか?」



 入ってきたのは火野さんだった。



「あなたはシズカさんの病室で、倒れたんです。
過呼吸でね。
覚えていますか?」



 そういえば……。

 わたしは、こくりとうなずいた。

 お母さんの病室でのことは、あまり思い出さないようにしよう。

 じゃないと、また苦しくなりそうだ。



「緊急事態につき、首輪はわたしの方ではずさせていただきました」



 火野さんはカードキーと、わたしについていた首輪を見せてくれた。



「医師の診察を受けたのち、
異常なしと診断されたら、
すみやかに首輪をつけていただきます」



 「では、医師を呼んできますので」
 と言い残して火野さんは去って行った。

 わたしはベッドの上でひざを抱えて、丸くなった。

 いろいろなことが頭の中をめぐる。

 お母さん……。

 やっぱり、わたしのこと、恨んでた。

 当然だよね。魔女のせいで、人生めちゃくちゃになったんだもん。



 『大嫌いよ。あんたなんて、産まなければよかった』



 お母さんの言葉が何度も何度も頭の中で繰り返される。