わなわなと体を震わせて、
 お母さんはぎろりとわたしをにらみつけた。



「この、恥知らず!」



 ぴしゃん、と雷のなったようなお母さんの怒声が響きわたる。



「おまえは、おまえは……。
わたしとあの人の幸せをうばっただけでなく、
こんな子まで
魔女の仲間に引きずりこもうとしているの⁉」



 おかあ、さん?



「ああ、信じられない。
わたしは、この三年間、おまえをずっと憎んでた!
おまえはずっと、わたしを苦しめていたんだ! 
それなのに、魔女のおまえに友だち? 
ふざけるな!」



 口の端から泡を飛ばして、お母さんは叫び続ける。

 こんなに憎しみをあらわにした表情、初めて見た。



「友だちなんて、魔女に必要ないもの! 
魔女は勉学に打ち込み、その力をお国のために使うのが義務でしょうが! 
そんなことも忘れてしまったの⁉」



 わたしはあわてて首を横に振る。

 忘れてない、忘れてないよ、お母さん。

 だから、怒らないで。

 わたしが、全部悪いのはわかったから。



「いい? 
魔女のおまえは、一生幸せになれない! 
いや、幸せになることなんて、許されないんだ。
わたしが許さない! 
それを忘れるな!」



 わたしはもう、ガクガクとうなずくしかなかった。

 呪いのように、お母さんの言葉がぎゅう、と心をしめあげる。



『魔女は、一生、幸せになれない。わたしが許さない』



 ひゅ、と息がつまる。

 ひゅ、ひゅーっと息が上がっていく。