「どした? 車に酔ったか?」



 心配そうなリヒトくんの声に、わたしはぶんぶんと首を振った。

 だめだめ!

 今の気持ちは……、忘れよう。

 この気持ちこそ、隠し通さないと。

 魔女が抱いていい気持ちじゃない。

 でも……、友情、なら。

 友だちなら、許される、かな?

 だれにともなく、わたしはたずねた。

 もちろん、返ってくるこたえはない。
 
 リヒトくんが教えてくれた、「考える」こと。

 ……きっと、こたえを出すのは自分なんだ。

 リヒトくんがこれから受ける「教育」。

それを受けても、
もしリヒトくんがわたしを「友だち」だって言ってくれるなら……。



わたしは、それを受け入れよう。