「はあ……」



 梨田さんが、ため息ともあいづちともとれない声を出す。

 っていうか、さっきから「ふたり」って言ってるけど……。

 わたしも、数に入ってるの?

 梨田さんも、「魔女」に気軽に話しかけてる大上くん……、
 リヒト、くん? にとまどってるみたい。



「でさ、ユキ。オマエがカナと一緒にメシ食ってたってことだけど……」



 梨田さんの表情におびえがもどる。

 リヒトくんは、何て言うんだろう?

 想像がつかない。

 でも、たぶん……。

 イヤなことは、言わないんじゃないかな。

 だって、リヒトくん、とっても優しい目をしてるもん。

 穏やかな、金色。太陽と同じ色。



「ぶっちゃけ、だれがだれとメシ食おうが、
 どうでもいいとおれは思うんだよな」

「……え?」

「だから、オマエらのことだれかに言ったりしねーよ」



 ほっと梨田さんの体から力が抜けたのがわかる。

 よかった……!



「……ただ、ユキに聞きたいことはある」

「なんですか?」

「メシを食うっていう、無防備な姿を見せるくらいは、
 カナのことを信頼してるのか?
 カナが魔女でも、ここでは災いを起こさないって」

「……、そ、れは……」



 わたしは急いで両手の人差し指でバツ印をつくって、リヒトくんにつきつけた。

 こんな質問、こたえられるワケないでしょ!

 梨田さん、困っちゃうよ!