わたしは迷った。

 先生に、言うべきか、言わざるべきか。

 だって、こんな夢を見たって言って、もしプリンの時と同じことが起こったら……。

 わたしは、確実に魔女として魔女裁判にかけられる。

 絶対に、有罪だ。

 結局、わたしは先生に言わないことにした。



 みんなで、道路を歩く。

 夢で見た交差点まで、あと五百メートル。
 ぐっと足取りが重くなる。

 どうしたの? と友だちに聞かれる。

 あと、三百メートル。
 手に嫌な汗をかく。

 ……あと、百メートル。
 どくん、どくんと心臓が悲鳴を上げる。

 もう、我慢の限界だった。

 このままじゃ、みんながひどいことになる。

 思い出すのは、みんなの涙と悲鳴。血にまみれた現場。

 このまま見過ごして、だれかが傷つくなんて、嫌だ!



「みんな、とまって! とまれえええぇぇぇ!」



 わたしは叫びながら列のうしろから前へと駆け出して、
 大きく手を広げて道をふさいた。

 みんな。ビックリしてわたしを見つめる。

 それからすぐだった。

 耳をつんざくような、破壊音。

 これから通るところだった道に、車がつっこんできた。

 生徒たちはだれも、ケガをすることはなかっけど……。

 運転手は、大ケガをした。

 そんなことがあって、だれもがわたしをおびえた目で見るようになった。

 わたしが、災いを起こしたから……。

 わたしは、そのあとすぐに、魔女裁判にかけられた。

 判決は、有罪。



 わたしは……、魔女であるということ。