全校生徒のほとんどが食中毒にかかり、苦しんだ。

 プリンを食べなかったわたしは、助かった。

 これが、一つ目の災い。

 先生、いや、おとなたちがざわめいていたのを覚えている。

 それでも、わたしが魔女裁判にかけられずにすんだのは、たぶん、わたしがまだ幼かったからだ。

 それに、両親もわたしをかばってくれた。

 きっと、偶然だろうって。

 だから、ひとまずは様子見、という形になったんだ。


 
 次に災いがあったのは、小学校五年生の時。

 また、夢を見た。

 校外学習のため、みんなで列をつくって、道路を歩く夢。

 とある交差点で、いきなり車が列に突っこんできた。

 列の前の方にいた子たちは、思いっきり車にひかれてしまった。

 地獄といっていいくらい悲惨な光景が広がる。

 血だらけの子。泣き叫ぶ子。泣く元気もないくらいの傷を受けた子……。

 わたしは、泣きながら飛び起きた。

 食中毒プリンの夢と同じ感覚。それがおそろしかった。

 その時、わたしは魔女というものについて、細かく学校で習っていた。

 災いを起こす人のことを魔女というのだと。

 魔女は、おそろしい存在だということを。

 もしかして、という気がした。



 まさか、わたしが? わたしが魔女なの?



 混乱したまま、わたしは学校へ向かった。

 その日、校外学習のため、道路を歩いて公園へ行くことは決まっていた。