よかった、まだこの学園に居られる……。
 生徒会のみんなとも一緒に居られる……。

 闇くんや光くん、灯くんに私が人間だとバレた意味がなかったかもしれないし、自分が女だと言うタイミングも逃してしまったけど、もうそんなのどうでもいい。

 誰も取られなくて良かった……。

 また泣きそう。

 顔を隠したくて、私はぐでんと前に身体を折った。

 みんなには感謝しないと。
 でも、いまはお礼とか謝罪をする余裕がない。
 もうこのままこの土下座スタイルで寝てしまいたい。

「雪」

 ――ふぇっ、晩くんが初めて私の名前を……、ってあれ?

 頭を上げてみたら、四人が私を上から覗き込んでいた。
 顔がいい悪魔と天使の圧がすごい。

「忘れ物だ」

 私の隣にしゃがんで、晩くんが私の左腕に黒い腕章をつける。
 そこにあるのは『親衛隊隊長』の赤い文字。

「雪ちゃん」

 晩くんが立ち上がると、今度は灯くんが私のことを後ろからぎゅっと抱き締めた。

 私の肩に顎を乗せる小動物系男子が可愛い。
 癒される。

「雪」

 私の右手を優しく握って、大丈夫だ、って顔をしてくれたのは闇くんだった。

 やんちゃな見た目だけど世話焼きな彼の存在が心強い。

「雪くん」

 光くんは心配そうに私の左頬に濡れハンカチを添え、天使の微笑みを浮かべた。

 まぶしいくらいに輝く、爽やか王子様。
 一緒にいると私まで元気にしてくれる。

「雪」

 ――ま、また、晩くんが私の名前を……!

 呼ばれるままに顔を上げると、真正面に立った晩くんの左手が私に近付いた。

 くしゃりと乱される私の髪。

「俺たち、お前を逃がす気ねぇから」

 クールな漆黒の瞳が悪魔の微笑みを浮かべる。

「ひゃい」

 私の口から間抜けな返事がこぼれた。

 滲み出す王者の風格。

 ――やっぱり、私はこの四人から離れられないようです……。