生徒会のみんなと仲良くなって、光くんのおかげで風邪も治って、これからは順風満帆な日々が続くんだと思っていたのに……

「白鳥くん、わたくし、あなたの秘密を知ってしまいましたわ」

 風でなびく長い黒髪、私を見つめる赤い瞳。

 その時は突然やってきた。

 今朝、靴箱に入っていた手紙には

『白鳥くんへ。今日の放課後、屋上でお待ちしております。悪魔組1年A組 朝比奈 蘭』

 と書いてあった。

 同じクラスだけど一度も話したことがなくて、関わるべきじゃないと思ったけど、自分に告白する人なんていないと分かってるから、嫌な予感がして私は手紙に従った。

「東条様までいらっしゃるなんて、なんて好都合なんでしょう」

 今回は前回のことを踏まえて、ちゃんと私の正体を知っている晩くんに相談して、ついて来てもらったんだけど、なんか逆効果だったみたい。

 うっとりした乙女な顔で朝比奈さんは東条くんを見てる。

「秘密ってなんですか?」

 どきりとする心で、私は彼女に尋ねた。
 薄々気付いてるけど、それじゃないと言ってほしい。

「……あなた人間ですわね?」

 願ってみたけど、朝比奈さんの答えは変わらなかった。

「適当なこと言うな」

 私の隣に立った晩くんが冷たい声で言う。でも、

「わたくし、合宿で東条様と白鳥くんが話しているところを聞いてしまいましたの」

 朝比奈さんは全然動じてなくて、優雅な動きで私に近付いた。

「どうするつもりですか?」

 黙って密告せずに、わざわざ私に伝えるなんて、一体、何を考えているの?