「なんですか? ――ひぃ」

 お知らせとかを暢気に見れるような気分じゃないんですけど、と思いながら掲示板を見て私は小さな悲鳴を上げた。

 そこには

『悪魔組1年A組 笹本 真織 人間確定』

 と貼り出されていた。

 ――うわぁ、入学式当日から人間だってバレてる子がいる……。こわぁ。

「お前、こうなりたくないよな?」
「なりたくないです」

 加賀美先生に聞かれて、私は即答した。

「じゃあ、こっち来い」

 先生は嬉しそうに意地悪な笑みを浮かべている。
 これぞ悪魔って感じだ。

 その赤い悪魔に連れられるままに私はとある部屋に入った。
 そこはまだ悪魔組の教室ではなくて、ソファとかが置かれた豪華な部屋だった。

「ここは俺が勝手に改装した俺の休憩室だ」

 ――なに勝手にやってるの! この人!

 さらっと言ってのける先生に私は疑いの瞳を向けた。

「まあ、ここ座れよ」

 豪華な椅子を指差されて、緊張する。
 座ったら簡単には逃げられなくなる。
 でも、変なこと、されませんよね?
 教師と生徒ですよ?

 そろりと静かに椅子に腰を掛ける私。
 目の前に王子様みたいに片膝をつく先生。