でも、まあ、ぐじぐじしててもしょうがないし、とりあえず、どうするか考えよう。
ライトがないから帰る道が分からなくて、しかも、池が小さいといっても胸元まで水に浸かってしまったから、今の状態で歩くと白いティーシャツが透けて、さらしと人間のハート印がたぶん、見えちゃうな。
ここから出て、とりあえず乾かす?
今なら誰も気付いてなくて、誰も来なさそうだもんね。
「そっか、誰も、気付いてないのか……」
自分で考えて、自分で呟いて、ちょっと虚しくなる。
誰かを試したかったわけじゃないけど、誰にも言わずに行動してしまったことを後悔した。
――私、馬鹿みたいだな。友達が出来るかも、なんて甘い考え持っちゃって。
ガサガサっ!
「ひっ!」
自然は私に傷心する時間も与えてくれない。
急に何かが近くで動く音がして、小さな悲鳴が出た。
どっちだろう、右? 左? それとも、私の後ろ?
クマだったら、どうしよう……。
「この二日間俺たちを避けてたこと、許さねぇからな?」
「ひぃぃぃ!」
すべての恨みを込めたような低い声が背後から聞こえてきて、私は飛び上がった。
あれ、でも、このしゃべり方……
「晩くん……?」
後ろを振り返ってみれば、そこには懐中電灯で自分の顔を下から照らす晩くんが立っていた。
「首輪がねぇから、探すの苦労したぞ? まったく……、知らねぇ女と組みやがって」
怒った怖い顔がさらに怖いです。
「お前さ、ちょっとは警戒心持ったらどうなんだよ?」
「そうですよね、すみません」
私、晩くんのことを苛立たせてる。
でも、たしかにそうだ。
誰かに言ってから行動しなかった私が悪い。
なんとなく、晩くんとは加賀美先生のところから連れ戻された日からギクシャクしていて、こんな風に話すのは久しぶりのような気がした。
ライトがないから帰る道が分からなくて、しかも、池が小さいといっても胸元まで水に浸かってしまったから、今の状態で歩くと白いティーシャツが透けて、さらしと人間のハート印がたぶん、見えちゃうな。
ここから出て、とりあえず乾かす?
今なら誰も気付いてなくて、誰も来なさそうだもんね。
「そっか、誰も、気付いてないのか……」
自分で考えて、自分で呟いて、ちょっと虚しくなる。
誰かを試したかったわけじゃないけど、誰にも言わずに行動してしまったことを後悔した。
――私、馬鹿みたいだな。友達が出来るかも、なんて甘い考え持っちゃって。
ガサガサっ!
「ひっ!」
自然は私に傷心する時間も与えてくれない。
急に何かが近くで動く音がして、小さな悲鳴が出た。
どっちだろう、右? 左? それとも、私の後ろ?
クマだったら、どうしよう……。
「この二日間俺たちを避けてたこと、許さねぇからな?」
「ひぃぃぃ!」
すべての恨みを込めたような低い声が背後から聞こえてきて、私は飛び上がった。
あれ、でも、このしゃべり方……
「晩くん……?」
後ろを振り返ってみれば、そこには懐中電灯で自分の顔を下から照らす晩くんが立っていた。
「首輪がねぇから、探すの苦労したぞ? まったく……、知らねぇ女と組みやがって」
怒った怖い顔がさらに怖いです。
「お前さ、ちょっとは警戒心持ったらどうなんだよ?」
「そうですよね、すみません」
私、晩くんのことを苛立たせてる。
でも、たしかにそうだ。
誰かに言ってから行動しなかった私が悪い。
なんとなく、晩くんとは加賀美先生のところから連れ戻された日からギクシャクしていて、こんな風に話すのは久しぶりのような気がした。