まあ、これはただのオリエンテーションだし、一人でとりあえずこなして一日が終わればいいんだよね。

 まずは謎解きハイキングをするために知らないグループの後ろにくっついて行って……と思ったけど、私はふと気付いてしまった。

 天使組のどこかの組の女の子も一人だけペアが組めなくて、みんなから少し離れたところでもじもじしてる。

 そっか、まだ入学してそんなに経ってないから、クラスに馴染めてない子が他にいても不思議じゃないよね。

 いま、私、男装してるし、生徒会の親衛隊やってるから、友達とか作れないかな……。
 声掛けたら、迷惑かな?

「あの、一人ですか?」

 ――だぁああ、声を掛けてしまった。

 一人でいいと思っておきながら、堪えきれなくなって突撃してしまった。

「え?」

 こちらを向いて、肩くらいまでのツヤツヤ水色ボブが揺れる。
 髪のエンジェルリングが美しい。
 金色の瞳も綺麗だし、涙ぼくろが同い歳とは思えないくらい大人っぽかった。

 もしかして、この子、私とは違って美し過ぎて浮いているだけじゃ?

「えっと、ペアがいなかったら一緒にと思って……」

 そこまで言って、戸惑われていることに気付いて

「あ、ごめんなさい、俺なんか、目立って嫌ですよね」

 と私は付け足した。