新入生のぎこちなさが少し抜けた頃、さらに仲を深めましょうということで用意されているのがオリエンテーション合宿というものである。

 天使組と悪魔組合同でバスに乗って、山奥の施設で自然を学びながら……という一般の中学校でもありそうな行事で、生徒会の中でこれを楽しみにしてる人はいな……

「雪ちゃん、ボクとペア組む? また違うお揃いのパジャマ持ってきたよ」

「雪、カレー作りならオレ、得意だぞ? 隠し味はチョコレートだ」

「雪くん、この謎解きハイキングっていうのは僕に任せてくれないか?」

「おい、雑種、親衛隊ならこんなとき生徒会長に付くもんだろう? こい」

 いないはずだったんですが、みなさん、バスを降りた瞬間からなんだかやる気ですね。
 
 こんな感じでバスの席順はどうしたのか、って感じだと思いますが、私がバスに酔いやすいのと親衛隊ということで先頭の加賀美先生の隣の席に座りました。

 四人とも席の隣を優しさで誘ってくれたんだと思うんですけど、座れなくてごめんなさいでした。

「俺は別に一人でいいですよ、俺を入れると人数が奇数になるじゃないですか」

 私は両手をぶんぶんと振りながら、四人とペアになることを断った。

 奇数になると、生徒会の中の誰かが一人になることになってしまう。

 彼らを一般の生徒と組ませるとなると奪い合いが起きそうだ。

 きっと、引率の先生たちも苦労することになるだろう。

「いいなぁ、私も生徒会のみなさんと組みたい~」
「きゃー! 東条様がこっちを見てくれましたわ!」
「伊集院様! 俺と組んでくれませんか!」
「西園寺様―! 笑ってー!」
「京極様、私も一緒にお料理したいですー!」

 ほら、男女問わず周りの生徒たちが生徒会の四人を見て、今日もきゃーきゃー言ってる。
 いつもより接近距離も近い。四人ともすぐに囲まれてしまった。

 その勢いもあって、私はそっと離れることが出来て良かったんだけど……。

 黒地に赤いラインの入った悪魔組のジャージと白地に金のラインが入った天使組のジャージ。

 私のジャージといえば、いつになったら悪魔組のジャージがもらえるのか、天使組のジャージをずっと着ています。

 絶賛、ずっと浮いています。