雪ちゃんは全然警戒心がなくて、ソファに横になってすぐに静かな寝息を立てはじめた。

 その下の床に座って、ボクは彼の寝顔を見つめた。

 こんなに可愛い顔してるのに、男の子なんだ。
 ボクも可愛い系統の顔をしてると思うけど、雪ちゃんは桁違いだ。
 あの無造作な髪と黒縁メガネの下にこんな綺麗な顔を隠してたなんて。
 何か意味があったのかな?

 でも、雪ちゃんは鈍感であまり何かを気にしたりしない性格みたいだから、ただ自分の容姿を気にしてなかっただけかもね。
 だって、ボクと晩くんが雪ちゃんを取り合ってる理由を自分をサンドバッグにするためだなんて言うくらいだから。
 ほんと、面白いし、ボクらに興味ないんだろうな。

 ボクたちは誰が一番にキミを落とすか必死になってるのに。

 いま、ボクの順位はキミの中でどのくらい?

 きっと、晩くんよりは上だよね?

 でも、まさか、一緒に寝ることを断られるとは思わなかったな。
 ボクが差し出したお揃いのパジャマは簡単に着るくせに。

 ねえ、何がいけなかった?

 ボク、本気になっちゃったな。
 雪ちゃんを誰にも取られたくないや。
 たとえ相手が生徒会のメンバーだったとしても。

「雪ちゃんのことはボクが守ってあげるからね」

 ソファの上の雪ちゃんをぎゅっと抱きしめて、ボクは額にキスをした。
 この子に神の加護を。