急に手を引かれて戸惑う。

 そして、気付けば、私は灯くんの足の間に身体が収まるように座らされていて、後ろからぎゅっと抱きしめられていた。

「これ……、お仕置きなんですか」

 思わず、すん、という顔をしてしまう。
 お仕置きといえば、寒空の下ベランダの外に出すとか、鞭で叩くとか。
 これは、まあ動けなくて困るけど。

「そう、ぎゅっとするお仕置き」

 灯くんはそう言って、また私の肩に顎を置いた。
 なんだか、小動物みたいだ。

「ふふっ、なんか可愛いですね」

 人の膝に顎を乗せるウサギとかを想像したら可愛くなってしまって、私は笑ってしまった。

「わっ」

 突然、灯くんの膝に座るように急に横抱きにされてびっくりする。
 さすが天使、力持ちだ。
 といか、こんなに可愛いのに……。

「ボクが可愛い? キミのほうが可愛いよ」

 顎を掴まれて、視線を固定される。

 ――整った顔が近い……!

「俺、男ですけど?」

 まずい、まずい、ここで戸惑っては私が女だってバレてしまう。
 だから、さらっと言わせてもらいました。

「そうなんだよね、見てると錯覚を起こしそうになる」

 灯くんの金色の瞳が本当に綺麗で、吸い込まれそうになった。
 彼がニコッと笑って続ける。

「まあ、でもボクは雪ちゃんが女の子でも男の子でもどっちでもいいんだけどね」

 私はそれを聞いてなぜだか天使っぽいなと思ってしまった。
 だって、それって、男女どちらでもなく私の存在を認めてくれたってことだよね。