今日は入学四日目にして初の合同授業だった。
 悪魔組の黒いブレザーに混ざって、私の白いブレザーがさらに浮いた。
 だって、天使組が横に固まっているから、真っ白の横、黒い中の白一点は目立つ。

「あれが例の?」
「何のためにいるのかしらね」
「あいつ本当に悪魔なのか?」
「ダサい」

 天使組からの酷い言われようである。
 もっと、こう天使って優しいんじゃなかったでしたっけ?
 まあ、光くんと灯くんが特別に優しいだけかもしれない。

「ほら、整列しろ。これから魔力と加護の実力試験を行う」

 ――は?

 私たちの前に立った加賀美先生が突然、そんなことを言って、私は真顔になった。

「試験と言っても学園側がお前らの実力を知るために行う検査みたいなもんだ。他の生徒には見えないように行う」

 先生が指差した校庭の一角には数枚のパーティションを組み合わせて囲ったような大きな白い壁が立っていた。
 あの向こう側で何かをやるのだろうけど、こんなの聞いてません。

 あ、でも逆に堂々とやってる風にしておけば、誰も私を疑ったりしないのでは?

 なーんだ、それなら良かっ……

「あいつ、前回も先生に当てられなくてずるいからな。見に行ってやろうぜ」
「きっと強い力を持ってるんでしょうね」
「一人だけ生徒会の親衛隊隊長に選ばれるくらいだからな、どんなもんか見てやろう」

 まずい、とてもまずい。この人たち、私の試験を覗き見するつもりだ。

 悪魔組からも天使組からもそんなコソコソした声が聞こえてきた。

「壁の中にこれと同じ人形があるから、破壊するか光らせろ」

 先生、全然気にせず話を進めるじゃないですか。
 破壊するか光らせろってなんですか?
 物理的破壊でもいいですか?

 私は先生の横に置かれた黒いトルソーの人形を絶望の眼差しで見つめた。
 ぶん殴るか……。