「言っただろ? 俺は自分のモノを他人に奪われるのが嫌なんだって」

 圧倒的王者の風格で東条くんは答えた。

「言っとくけど雪は晩だけのモンじゃねぇから」

 東条くんの肩に腕を回しながら、闇くんも言う。

「雪くん、今日は僕の部屋に来るんだよね。疲れただろう? 甘いものでも用意しよう」

 西園寺くんが私にニコッと笑い掛けて、前を歩いていく。

「ちぇっ、ボクは明日かぁ」

 灯くんは拗ねたようにそう言った。とぼとぼ歩いてるのがちょっと可愛い。

 じゃなくて

「いや、あの! だから、なんでそんなに俺に執着してくれるんですか?」

 だって、私が聞きたいのはそういうことじゃない。
 モノとして取られたくなくても、そんなにみんなで私に執着する必要はないじゃないですか。
 誰か先生に伝えて、代わりに助けてもらうとかでいい。
 4人とも私のことを人間だって疑わないし。
 放っておいたって、私が戻る場所は生徒会の寮しかないわけで、それで……。

「お前が俺らに執着しねぇからだよ」

 振り返ることなく、そう言って東条くんは先を歩き始めた。
 それに闇くん、西園寺くん、灯くんと続いていく。

 絵になるなぁ、とは思うけど

「え? 答えになってないんですけど……」

 私は力なく呟いた。