放課後、埋蔵金探しを手伝って欲しいと同級生の男子に言われたときは、てっきりデートの誘いだと思った。彼、あたしのこと、いつもチラチラ見ているから、あたしを好きなんだと思っていたから。
 でも、違った。
「君の寝ぐせとかアホ毛が、ちょうどイイ具合なんだ。埋蔵金探しに」
 なんだ、ドキドキして損した。あたしの髪の毛は、ときどき上の方にそびえ立っているんだけど、それを見て彼は趣味でやっている埋蔵金探しに使えないかと考えていたんだそうだ。なんでやねん。
「僕の発明した埋蔵金発見器のスイッチを入れると……来た!」
 彼は目を輝かせた。あたしの頭を指差す。
「見て! 君の髪の毛、学校の裏山の方へ向かってツンツンしてる!」
 スマホの画面で見てみると、確かにそうなっていた!
「行こう!」
 彼は倉庫からスコップを持って来て学校の裏山へ向かった。ときどき、あたしの髪の毛を見て方向を確認する。
 やがて、あたしの髪の毛は裏山の崖下を指して固まった。
「よし、掘ってみよう」
 スコップで崖下を掘っていたら黒い金属の箱が出てきた。開けてみたら大判小判がザクザク入ってた!
「これは二人だけの秘密にしよう」
 そう言って彼は箱を閉じ再び土の中に埋めた。あたしは、その埋蔵金を独り占めにすることを考え始めていた。この同級生男子が消えたら、この大判小判は、あたしだけの物になる!
 そんなあたしに彼は言った。
「言い忘れていた。手伝ってくれて、ありがとう。それと、もう一つ。君が好きだ」
 そう言われるとトゥンク! となっちゃって、悪事をやりにくい。それから彼は言った。
「埋蔵金があるのは、ここだけじゃない。世界中にある。一緒に探しに行こう。週末は、近くの城跡へ行ってみよう。宝探し兼デートってことで、よろしく」
 今度こそデートの誘いだった。絶対に秘密のデートだ。クラスの誰にも言えない。バレたら宝を取られちゃうかもしれないから。