お隣さんということもあって、そのコンビニやご近所の散歩中、ゴミ出しなどでよく顔を合わせるようになった。

それまでもきっと何度も遭遇していたはずだけど、お互いに気づくようになったというのが正しい。

といっても、そんなときは決まって会釈をして『どうも』『それじゃあ』。


そんな関係に変化があったのは、7月に入った頃だった。

土曜の夜9時、家でぼーっとしていたら『カラカラ』と、お隣のベランダの窓が開く音がする。
続けて『シュポッ』という、瓶の栓を開ける音が聞こえてきた。

〝ひとりで晩酌のリラックスタイムかもしれないし〟

〝そもそも友だちでもないし〟

一瞬迷ったけど、我慢できるはずもなかった。

『カラカラ』と同じ音を鳴らして窓を開ける。
そして仕切り板越しに、ひょこっと顔を出してみる。

『こんばんは』
『……こんばんは』

予想通りビールを飲んでいた彼は、驚いた顔をしていた。