◇
8月。夜10時30分。
「案件残ってるなら、もうあと30分早く言ってよ〜って感じ」
「それでこの時間まで残業ですか」
「そ。やーっとゆっくり〝この子〟と過ごせる」
「この子って」
真下くんに苦笑いされながら私、木崎心・25歳はビールのタブを開けて「プシュッ」と音を鳴らす。
そしてそのままグビッ。
「あー生き返る〜! やっぱり私の味方は君だけだ〜好きー」
そう言って、ビールの缶にチュッとキスする。
〝この子〟こと冷蔵庫でキンキンに冷えているビールが、私の帰りを待っていてくれるパートナー。
「おつかれさま」
そう言って、真下くんがいつも飲んでる輸入ビールの瓶を傾ける。
あれから私たちは、家で乾杯するほど親しい間柄に——まではなっていない。
私たちがいるのはお互いの部屋のベランダ。
二人の間には白い仕切り板がある。
私たちは、ベランダで会話をしながら気まぐれに乾杯するくらいには親しいお隣さんになった。
8月。夜10時30分。
「案件残ってるなら、もうあと30分早く言ってよ〜って感じ」
「それでこの時間まで残業ですか」
「そ。やーっとゆっくり〝この子〟と過ごせる」
「この子って」
真下くんに苦笑いされながら私、木崎心・25歳はビールのタブを開けて「プシュッ」と音を鳴らす。
そしてそのままグビッ。
「あー生き返る〜! やっぱり私の味方は君だけだ〜好きー」
そう言って、ビールの缶にチュッとキスする。
〝この子〟こと冷蔵庫でキンキンに冷えているビールが、私の帰りを待っていてくれるパートナー。
「おつかれさま」
そう言って、真下くんがいつも飲んでる輸入ビールの瓶を傾ける。
あれから私たちは、家で乾杯するほど親しい間柄に——まではなっていない。
私たちがいるのはお互いの部屋のベランダ。
二人の間には白い仕切り板がある。
私たちは、ベランダで会話をしながら気まぐれに乾杯するくらいには親しいお隣さんになった。