『よし!』

私は今、おばあちゃんの家の近くの駅まで来ている。
季節は夏
ジリジリと照りつける太陽と一斉に鳴く蝉の声。どこかの家から聞こえてくる風鈴の揺れる音色。

『暑いし…田舎だし…暑いし』

コンビニは愚か、バスや人すらいない。
おばあちゃんの家までのバスの時刻表をみるけれど、寂れていて読めない。
『みんなどうやって時刻表見てるんだ?歩くしか、ないのか、トホホ…』

意を決して、
駅から一歩踏み出してすぐに後悔した。

あれからどれくらい歩いただろうか。
蜩が鳴き始めた。
もう心はボロボロ。
体からは汗の匂いが滲み出ていて
すぐにでもお風呂に入りたかった。

それからすぐに、
おばあちゃんの家に着いて
チャイムも鳴らさず、
勢いよくドアを開けた。

ちょうど向かいの階段から降りて来たおばあちゃんがびっくり驚いた顔をしてこちらを見ていたが、私だと分かった瞬間笑顔が広がった。