スタッフの声と、拓斗の声に振り返ると、拓斗がわたしの腕を引っぱって抱き寄せた。
それとほぼ同時に「ガッチャーンッ!!」っていう何かが落ちて割れたような音がした。引っぱられた衝撃と大きな音に思わずギュッと目をつむる。
「あぶなかったな」
拓斗の安心したような声に、おそるおそる目を開ける。
目の前には、黒くて大きなかたまり。
「天井の照明が落ちてきた」
拓斗が天井に向かって指をさした。
彼が引き寄せてくれなかったら下じきになっていたんだって思ってゾッとする。それから安心する。
「いたっ」
ホッとしたら、脚に痛みが走った。
「ちょっと見して」
「え!?」
拓斗がわたしのズボンの裾を少しめくりあげた。
「ちょっと!」
「ばか! ケガしてないか確認してんだよ」
「じ、自分でする!!」
急いで自分でズボンをめくって確認した。
「ちょっと赤くなってる」
「破片がぶつかったのかもな。痛みは?」
「……少し。えっ」
言った瞬間、身体がフワッと浮いて、拓斗にお姫さま抱っこされていることに気づく。