「レオさん?」
「ん? ああ、いや。当時はなかなか大変だったな、と思って」
レオさんはそれだけ言って、またお弁当を食べ始めた。
「ところで、君たちの先輩が問題になっているようだけど」
「あ、レオさんってショーンさんと知り合いなんですよね」
「ああ、古い知り合いなんだ。彼は相変わらずなようだけど、大丈夫なのか?」
今度は拓斗の顔がくもる。それに、わたしも。
「正直俺は……ショーンのこと嫌いになれないから、助けてあげたいなって思ってるんですけど、何ができるのかなって考えてて」
「そうか、アイツにもいい後輩がいるんだな。嫌いじゃないのなら、後悔しないように助けてあげるといい」
レオさんは、ショーンのことをよく知っているみたいな口ぶりだった。

♪♪♪

レオさんとお昼を食べた次の日。
「俺、やっぱりショーンと仲直りしたい」
移動の車の中で拓斗が言った。
運転は鳴川さん、後部座席にフィリックのふたり、わたしは助手席に座っている。
「えー、でも拓斗、あんなにひどいこと言われてたじゃん」
理澄くんは相変わらずだ。
「でも俺、小学生の頃からショーンにダンス教えてもらったから今も踊れてるし。それにショーンも、いろいろ焦ったりしてたんじゃないのかな」
「うん。ボクも、拓斗とショーンは仲直りした方がいいと思う」
だって、あれ以来ずっとモヤモヤしてるんだもん。