「え? なになに? ひょっとして二人、昨日あの後何かあった?」
「な、ないない! 何もない!」
するどい理澄くんに、わたしはあわてて首を振る。
「ふーん。それより果音ちゃん、ちょっとマズいことになってるんだよね」
「マズいこと?」
「うん、昨日のショーンさんと果音ちゃんのケンカの件なんだけど」
〝ケンカ〟というより、一方的に言いたいことを言ってしまっただけのような気がする。あれも、思い出すとちょっと恥ずかしい。
「それがどうかしたの? あ、きっとショーンがすっごく怒ってるよね……もしかして、本当にクビ?」
パパかもしれないショーンに会いにきて、まさかそのショーンとケンカになっちゃうなんて。
「いや、マズいのはどっちかっていうとショーンさんの方で……」
「え?」
「ショーンがSNSで炎上してる」
拓斗が差し出したスマホには、動画系SNSの画面が映し出されている。