自分でも気づかなかったけど、いつのまにか泣いてたんだ。
「だって……拓斗はっ誰よりも、が、頑張ってるのに……」
ノドのところがぎゅーって苦しくなる。
「あんな、あんな風に言われたら……っ」
涙が止まらなくなってしまった。
突然、ふわっとあたたかい何かに包まれる。
「え……」
拓斗に抱きしめられたんだって、気づいた。
「ありがとな、果音。果音が知ってて、あんな風に言ってくれただけでじゅうぶん」
拓斗の声はどこか悲しげだ。
「全部、全部本当のことだもん」
「うん、ありがとう」
「拓斗の分まで……わたしが泣く……」
「なんだよそれ」
拓斗は優しい声で小さく笑った。
拓斗の温もりとにおいに包まれて、心臓はドキドキするんじゃなくてすごく優しい音を奏でてる。