どうやらレッグのメンバーが、わたしの発言に笑ってしまったらしい。
「おい!」
ショーンがメンバーをにらむ。
「とにかく! 拓斗に謝って!」
わたしは興奮して一気にまくし立てたせいで、はあはあと息が切れてしまった。

「……果音、もういいよ。今日はもうあきらめる。行こ」

そう言って拓斗はわたしの腕を引っ張って、スタジオから連れ出した。
「え、拓斗! 収録は!?」
「それどころじゃない」
拓斗は廊下を歩きながら誰もいない部屋を見つけると、ドアを開けた。
「果音が泣いてるのに、テレビなんか出てる場合じゃないだろ?」
「え……」
頬に触れたら確かに涙が流れてた。