「そういう問題じゃないんだよ。実力がないやつと共演したくないって言ってるのがわからないのか?」
ショーンは全然許してないって感じだ。

「いいよなぁ、事務所の社長の息子は優遇してもらえて」

え? 社長の息子?
「拓斗って、ムジカの社長の息子なの?」
理澄くんに質問すると、彼はまたコクリとうなずいた。
わたしがマネージャー見習いになったときに理澄くんが言っていたことを思い出した。

——『ん? うん、まあ。拓斗が希望したことだからね』
——『まあそのうちわかるんじゃないかな』

あれって〝拓斗が社長の息子だから〟って意味だったんだ。

「たいした努力なんかしなくたってデビューできて。宣伝にも金かけてもらえてさ」
ショーンはひどい言葉をどんどん続ける。
「演技ができるわけでもないくせにドラマにも出られて、いいよな〜お坊ちゃんは」
「ショー——」

「ちょっと!!」