「……なんだよそれ」
予想以上に拓斗の機嫌が悪くなってびっくりする。
女の子たちに怒ってるのかな。
「莉子にも男の子の格好してもらうとか、もっと目立たないところ二人に会ってもらうとか、考えたらよかった。わたしがうっかりしてたの」
「じゃなくて」
拓斗がわたしの前に回り込んで進路をふさぐ。
「え?」
「なんですぐに俺に言わないんだよ」
「だ、だって、拓斗と理澄くんは撮影中だったし」
「……まあ、そうだけどっ——」
「ああっクソっ」って拓斗がイラだった様子でつぶやく。
「だけど、レオさんに助けてもらってからすぐに言ってくれたらよかっただろ?」
拓斗が何に怒っているのかよくわからない。
「べつに……ケガもなかったんだし」
「だからって、心配するだろ」
拓斗がわたしの目をジッと見る。
真剣な顔にうっかりドキドキしてしまうけど、お昼のときに莉子と楽しそうに話してたのを思い出す。