って、そんなことを考えていたらグイッと腕を引っ張られた。
「いいから来なさいよ!」
「え……ちょっ!」
3対2で、わたしは本当は女子だし、これは絶対にヤバい。
「誰か——」
「何してるの?」
背後の高いところから声が聞こえた。
「レオさん!」
迫力のあるレオさんが現れて、わたしの腕をつかんでいた女の子の手の力がゆるんだ。そのすきにパッと離れて、レオさんの近くに行く。
「何か、良くないことをしようとしていたのかな?」
「わ、わたしたちは別に……ただ、ルールを教えてあげようとしただけで。ねえ」
「そうそう」とうなずき合う彼女たちの言葉に、レオさんが「はあっ」と大きなため息をついた。
「そんなこと、拓斗くんも理澄くんも望んでいないよ。君たちがこの子たちにケガでもさせたら、僕が君たちにルールを教えなければいけなくなる」
「え……」
落ち着いていて穏やかだったレオさんの声が、急に低く冷たくなって彼女たちだけじゃなくて私と莉子もびっくりしている。
「自分勝手な行動で他人にケガをさせるような人間は、この現場からは出て行ってもらう」
レオさんの前髪の隙間からほんの少しだけ見えた目が、ギラリと光って彼女たちをにらみつけた。