「え? なんですか?」
莉子が戸惑った顔で返事をする。
「あんた、なんでフィリックとお昼食べてるわけ? スタジオの中もキョロキョロ見学されて、はっきり言ってジャマなんだけど」
どうやら彼女たちはフィリックのファンみたい。
拓斗がどうしてわたしに男の子の格好をさせたのか、今この瞬間にわかってしまった。
「ちょっとこっちに来なさいよ」
スタジオの隣の、今は使っていない部屋に連れ込まれそうになる。
あ、これって絶対ついて行ったらダメなやつ!
私のバカ! なんで莉子にも男の子の格好させなかったの!
「やめてください! この子はわた……ボクのイトコなんです!」
「誰よあんた!」
「ボクはフィリックのマネージャー兼ユースです。料理はボクが作ったんです」
「マネージャーなら、フィリックに女の子なんか近づけてるんじゃないわよ!」
「別にそんなつもりじゃないです」
なんて言ってみたけど、莉子はたしかにフィリックのファンだから、彼女たちが嫉妬するのも無理はないかもしれない。
わたしだってさっき……。