「あ、トマトとチーズのサンドイッチ! わたしこれ大好きー」
「拓斗も莉子と同じでトマトが嫌いなんだよ」
「勝手にバラすなよ」
「トマトってマズいですよね〜! 青くさくて。このサンドイッチはおいしいけど」
莉子の言葉に、拓斗は「うんうん」と深くうなずく。
「げ、セロリ」
拓斗が今度はセロリに反応する。
「だーかーらー! 文句は食べてから言ってよ」
セロリだって、水にさらして炒めてからツナと一緒にサンドイッチにするって工夫してる。
「わたしもセロリ大嫌いですけど、果音の料理だと大丈夫ですよ」
「へえ。あ、ほんとだ、これもウマい」
「おいしくない野菜って多いですよね〜」
「お。わかってんじゃん」
拓斗がまた、莉子の言葉に同意してうなずく。
なんだろう……いつも通り「ウマい」って言ってくれたのに、莉子と楽しそうに話してるのを見たら、なんだかちょっとモヤモヤする。
いつもはわたしに向けられる笑顔なのに……なんて、思っちゃってるかも。
だって、さっきのは営業スマイルかもしれないけど……今の笑顔は普段の拓斗って感じなんだもん。