「うわ〜また出てるよ、ショーンさん」

拓斗とのダンスレッスンから3日後、ドラマの撮影現場の片すみで理澄くんスマホをながめながら顔をゆがませていた。
「え? なになに?」
「わー! 果音ちゃんは見ちゃだめ!」
ひょこっとのぞき込もうとして、画面をパッと隠される。
ちなみにあの日の翌日から、理澄くんにも敬語を使うのはやめた。
「隠されたらよけい気になる。あ! 何あれ!」
「え? なになに?」
何もないところを指さして、理澄くんがそっちをみた瞬間にスマホをヒョイっと取り上げた。
「わ! こら!」
「えーっと……」
スマホの画面に表示されていたのはネットの芸能ニュース記事だった。
ショーンが女の子の肩を抱いている、なんだかボヤけた写真が目に入る。
「これって」
「ショーンさんのスキャンダルってやつだね。もう何度も撮られてるから、いまさらって感じだけど」
〝ショーンは女好き〟って聞いてしまったから予想はしていたけど、気分のいいものじゃない。なんだか気持ちがどよ〜んと暗くなる。