「僕と同じくらいの歳の子でね、拓斗みたいに華のある子だったんだけど」
鳴川さんは昔を思い出すように話す。
「だけど、その子はいつも忙しそうで大変そうで」
彼と同じくらいの歳ってことは、ママとも同じくらいってことかな。
「そういう人を助けてあげる仕事もいいなと思ったんだよね。そういう子たちがもっと仕事に集中して楽しめるようなサポートができるといいなって」
「そうなんだ」
「まあ、その子はあっさり芸能界を引退してしまったけどね」
なんだかママみたいだなぁ。
「あれ? そういえば虹瀬くんと同じ名字だな。すごい偶然だ」
鳴川さんの言葉に心臓が〝ドクンッ〟って今まで聞いたことのない音を鳴らした。
「え? 虹瀬っていうんですか? その人。もしかして……虹瀬ひびき?」
「うん。そうだけど、よく知ってるね、もしかして親戚?」
「え、えっと……そ、そうなんです、遠い親戚で」
「そうなんだ。本当にすごい偶然だなあ。ひびきちゃん、元気にしてるのかな?」
ママのこと知ってて同じくらいの年齢の男性……もしかして。