「日本と外国を行ったり来たり飛び回って忙しい人だから、連続ドラマに出てくれるなんて滅多にないチャンスなんだ」
拓斗くんは目を輝かせて、ちょっぴり興奮気味に話している。
「いつか一緒に仕事したいって思ってたから、こんなに早く一緒にやれるなんて超ラッキー」
あまりにもうれしそうだから、思わずクスッて笑っちゃった。

——『何か夢や目標がある人が好きかな』
——『大きな夢があって、目がキラキラした人』

ママの言ってた意味が、なんとなくわかった気がする。
……って! あれはママの〝好きな人〟の話でしょ!
拓斗くんは友だちっていうか、仲間っていうか。ううん、それどころかワガママな弟って感じ!
思わずブンブン首を振ってしまった。
「俺のダンスの目標はショーン。演技の目標はレオさんなんだ」
う、すっごくまっすぐな目。
これはドキドキしたってしょうがないよ。
「拓斗くんならすぐに上達するんじゃないですか? ダンスも演技も、器用だって鳴川さんも言ってたし」
ほめたつもりのわたしの言葉に、拓斗くんの表情が少しくもった気がする。
「器用……か」
拓斗くんの表情の理由がわかるのに、そんなに時間はかからなかった。