「レオさんがすごいのなんて、当たり前だろ?」
その日の撮影が終わって、楽屋で拓斗くんが着替えながら言う。
「わ! ちょっと、あっちで着替えてください」
「何? 照れてんの?」
拓斗くんがわざと近づいてきてわたしをのぞき込む。
「当たり前です! 上半身裸で近づくとか、ヘンタイ!」
「フィリックの拓斗をつかまえて〝ヘンタイ〟なんて、ファンが聞いたら激怒するな」
「だったらファンの子たちに見せればいいじゃないですか!」
わたしの反応に、拓斗くんはイタズラっぽく笑ってる。ヘンタイセクハラアイドル!
「拓斗はレオさんがいるから、今回のドラマにどうしても出るって言ったんだよ。忙しいのに。おかげで僕まで忙しい」
「そんなにすごい人なんですか?」
「果音って本当に芸能界にうといんだな。レオさん……雪村(ゆきむら)レオは海外の映画賞なんかも獲ってる世界的な俳優だ」
「なんとかデミー賞とか?」
拓斗くんがうなずく。