だけど、鳴川さんの言っていた意味はすぐにわかった。あの歌番組のテストのときみたいに。

「すごい! 拓斗くんって演技が上手」
理澄くんも負けてないけど、ついつい目が拓斗くんを追ってしまう。
笑ったかと思ったら、困ったような切なげな表情になったり、セリフもとっても自然。
「拓斗には、他の誰にも負けない華があるんだよ。カメラを向けられると何倍にも輝きだすんだ」
また歌番組のことを思い出して、「なるほど」って感心して「ほー」ってまぬけな声を出してしまう。
「それに、全然セリフを間違えないんですね」
「そうなんだよね。ダンスもいつも完璧だし、セリフもいつも間違えない。器用な子なんだよ。才能ってやつだな」
「すごいんですね!」
確かに、カメラの前に立った拓斗くんは他の誰より自信に満ちあふれてキラキラして見える。