「それに、ショーンの名前」
「名前? ショーン?」
拓斗くんが「うん」とうなずく。
「前に教えてもらったんだけど、〝(しょう)〟に〝(おと)〟って書いてショーンって読むんだって」
拓斗くんはスマホに漢字を表示して見せてくれた。
「音って字が、果音と同じだろ?」
「本当だ」
拓斗くんがくれた情報に、胸がドキドキする。
「だいたい、果音の母さんが今でも好きな相手なんだろ? 悪い人ならともかく、果音が生まれてから一度も会わせてもらえないなんて、ショーンくらいの有名人じゃなくちゃ説明がつかないと思う」
わたしも似たようなことを思っていたけど、彼の言葉には説得力がある。
「これだっていう証拠はないけど、パズルのピースのひとつひとつがショーンが果音の父さんだって言ってる気がする」
「でもそのショーンさんは性格が悪いんだよね」
理澄くんの言葉に、昨日の様子を思い出してまたしゅんと肩を落としてしまう。
「昨日も言ったけど、俺はけっこうショーンが好きなんだ」
拓斗くんがわたしを見る。