♪♪♪

「おじゃまします」
「ど、どうぞ。えっと、ママが帰ってくるまでゆっくりくつろいでいてください」
レオさんと拓斗をリビングに案内する。
「あ! お茶いれますね」
「そんなに気をつかわなくて大丈夫だよ」
落ち着かないわたしに、レオさんが優しく笑いかける。
「それより、申し訳ないんだけどキッチンを借りてもいいかな」
「は、はい! どうぞどうぞ」
レオさんはここに来る途中、なぜかスーパーに寄ってニンジンを1本だけ買った。
何か料理をするようだ。
「どうしよう、ドキドキがおさまらない」
リビングで頭に入ってこないテレビを見ながら、拓斗に言う。拓斗はまた、手をギュッて握ってくれる。
「あったかい……拓斗がいてくれて良かった」
それからしばらくして、玄関の方からガチャガチャって音がする。
「ママだ」
また、心臓の音が速くなる。